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2006年10月

衆議院統一補欠選挙 自民公明推薦候補勝利

衆議院統一補欠選挙 自民公明推薦候補勝利

 10月22日、衆議院統一補欠選挙が神奈川16区と大阪9区で行われた。結果は、自民党の二勝であった。
 この勝利に、安倍自民党執行部は「自分たちの政策が国民に受け入れられた」といい、小沢民主党執行部は「勝負は参議院選挙」と敗戦の弁を述べた。
 選挙は水ものである。その候補の個人の力や資質もさる事ながら、選挙の時の社会的なムードや国際情勢、もっと言えば社会面い出るような事件や芸能関係など、まったく政策などと関係がないとされる要因が大きく左右し、そのうえで得票率が異なることになる。
 与党連合、民主党、共産党と多くの場合三政党が候補者を立候補させる。それぞれ基礎票がある。自民党は自民党の支持団体や企業など、公明党は創価学会、民主党は労組と立正効正会、共産党は赤旗と、何となく支持母体が決まっている。まず選挙で効くのは、この支持母体の団結の強さ。昨今自民党の支持母体が弱いということも、労組の組織率が低下しているということも言われている。逆に宗教団体の結束力が強くなるということも挙げられている。特にマスコミは、公明党創価学会のことをことさらに言うが、やはり、それ以外にも宗教団体や、宗教的団体は存在し、そのカリスマ性により集票をしていることも少なくない。
 選挙は支持母体だけの票で行われるわけではない。色分けされている人は、多く見積もっても全体の半数。統計の種類によっては30%を割るということも少なくない。支持政党なしという人がいかに多いか。
 その支持政党なしの人が、上記のように別な要因で動く。それは候補者の個性や政策ではなく、政府の行っていることや、各政党の代表の顔などに影響される。これは、政党の支持によって自分の生活が変わらないということを意味しており、政治はあまり関係ない、無関心ということである。
 このような選挙の基礎知識のうえで、今回の選挙をみてみよう。
 第一に地域性。特に反権力がつよいとか、逆に宗教色が強いといったことはない。一般の住宅地である。要するに、上記のように支持政党なし、政治に無関心な人物が多い場所といえる。要するに標準的。支持政党が決まっていない、いわゆる浮動票が多い土地柄。
 第二に、候補者。これに関しては特に特徴があるわけでもない。もちろん、候補者個人に公約があるが、少なくとも政見放送などをみる限りにおいて、特別なことを言っているような話はない。また、地域における特別な論点もあるわけではない。結局は国政に関する論点と成る。
 では、その論点。
 しかし、その論点は、ここ数週間北朝鮮の核実験と6カ国協議再開で止まっている。また国会は教育基本法改正の議論をしているものの、その中身は自民と民主は双方ほとんど変わらない論点と成っている。要するに、現時点で国論を二分する論点は存在しない。
 民主党は、北朝鮮問題でも教育基本法でも、論点の軸をつくれると思う。しかし、そこは民主党の内部事情により、対立軸をつくれない。北朝鮮の核実験を是としないことについては、だれもがその通りであるが、その対応と方法に関しては諸説あってしかるべき。しかし、それが民主党ではできていないし、そのことの「明確化」が打ち出せない。それどころか、以前にも書いたが、民主党の中には、以前「拉致はなかった」と主張していた国会議員やその支持団体がついているのである。この状態で、具体的な方法論、特に制裁をするのか、今の政府の方針でよいのか、まとめることは困難である。
 教育基本法に関しても、「愛国心」を重視することは特に問題がない。日本人で日本が嫌いな人は少ない。しかし、その方法などで対立軸をつくればよいが、そもそも民主党の中には「日の丸君が代」に反対している人がいるのに、そこで愛国心を打ち出すことこそ、軍国主義につながるなどと言いかねない。
 そして、それらをまとめる小沢一郎代表が体の調子が悪く陣頭指揮が執れなかったということになれば、野党は不利になる。
 一方、安倍自民党にとっては「国難」ということそのものを処理しているのであり、最も重要な国民の安全を守るということをしているのであるから、毎日「悪の金正日と善の安倍晋三」という対比で、民主党などとは問題にならない状況で報道、露出する。
 そのうえ、対立軸をつくれない野党が相手であれば、楽勝とまでは言わなくとも、勝利は見えていたといえる。
 安倍自民党にしてみれば、勝つことよりは勝ち方であった。圧勝し、なおかつ国民が安倍政権を支持しているという数字をつくりたかったであろう。とても拮抗している勝負などでは問題になる。
 以上の状態から、今回は、マスコミや芸能人なども特に騒ぐことなく選挙が終わり、順当に与党が勝利した。これは公明党がキャスティングボードを握ったものでもなく、民主党が対立軸をつくることができず、支持団体に頼った選挙をし、浮動票をとりこめなかったことによる。
 この選挙で来年の参議院選挙を占うということはできないと私はみている。この選挙の結果は、上記のような要因に左右されたものであり、これで占うには来年の7月に国際的、全国的に何が起きるかを予想しなければならない。予言者ではないのでそれは不可能である。
 一つ言えることは、小沢氏の行う支持団体選挙は、現在の民主党では難しいということ。そしてそれを行うのであれば、勝負の1人区で民主は自滅してゆくであろう。そして、その自覚、今回の反省が来年の参議院選挙までにできるのか、それとも、今回は北朝鮮の追い風で安倍に負けたと結論づけるのか、政策を戦わせるはずの民主党がその総括をどう行うのか。
 また自民党は、これにおごることなく、しっかりとした政策と改革を進めることができるのか。特に課題と成っている経済政策はどのようになっているのか。景気を後退させることなく発展を維持できるのか。
 来年の参議院選挙は、その結果の勝負になる。今回の結果の反省、総括が待たれる。

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北朝鮮核実験遂行

 10月9日未明、北朝鮮は北朝鮮北部で地下核実験を遂行した。北朝鮮は、10月はじめより核実験を行うことを、朝鮮中央テレビの報道を通じて国外に発信していた。その報道を受け、日本、韓国などの隣国と六カ国協議に参加しているアメリカはすぐに非難生命を発表し、北朝鮮に中止を促した。それだけでなく、国連の安全保障理事会において、北朝鮮に対して核実験の中止を呼び掛け、また、その準備を行った北朝鮮に対して非難の議長声明を可決した。この議長声明は、日本の大島国連大使が起草したもので、それに対して中国及びロシア、要するに北朝鮮に味方する国々が一部修正を加えたものである。本件に関して、国連憲章第7章、制裁に関する条項は入っていないものの、その案は、ほぼ制裁発動に近いものである。

 さて、なぜこの時期に北朝鮮は核実験を行ったのであろうか。

 いくつかの要因が重なった結果というのが通常の見方である。

 第一に、六カ国協議との関係。
 六カ国協議は、現在中止状態になっている。北朝鮮は、核の問題や拉致問題など、隣国に対する挑発姿勢をもって取引をしようとしている。一方アメリカ、韓国、日本は無条件での挑発行為の中止を求める。中国とロシアの二カ国は、アメリカ主導での東アジア経営を避けつつ、北朝鮮の行き過ぎた行為を自制するように求める。要するに、現在休戦中の朝鮮戦争が再発し、北朝鮮をきっかけにした米中武力戦争は避けたいという見通しがある。
 北朝鮮は、それぞれの国々の利害を巧妙に操り、調整しながら、個別外交で対応しようとしている。ようするに、中国やロシアと約束していることと、アメリカに対して言おうとしていること、日本や韓国に強気で接している態度、それぞれ北朝鮮の違った一面であり、それらすべてを各国に見せることはできない事情がある。ブローカーが直接当事者同志で会議されると困るのと同じである。
 これらを分断するのが軍事挑発である。日米は当然に強硬に避難し、沖縄や舞鶴、横須賀、横田などの軍事施設を拡充する。韓国は太陽政策の現政権と、反北朝鮮の勢力とで分裂状態になる。そもそも50年も戦争をしていない国の若者が、戦争をできるはずがない。まだ、北朝鮮の若者の方が、ハングリー精神があるだけ強いという計算がある。一方、中露は、軍事的警戒を強める日米を非難し、同時にアメリカの東アジア軍事侵攻であるとして、アメリカとの対立を深めてくれるはずである。何しろ、北朝鮮にとって北側の国境線を挟んだ二大国が味方になるのだから心強い。
 そのような計算で、2006年7月のミサイル発射実験を強行した。これに関してはロシアと中国は事前に連絡を受けていたようで、特に大きな騒ぎにはならなかった。そして、大騒ぎしたアメリカに対して中国は冷ややかに対応している。
 北朝鮮にとっては、今回の核実験もそうなるはずであった。しかし、必ずしもそうならなかった。

 第二に、安倍新首相の誕生と中国韓国の訪問である。
 安倍新首相は、本人が望む望まないは別にして岸信介元首相の孫である。岸元首相は、安保騒動の立役者であり、国会近辺にデモ隊が来たときも「声なき声を聞け」(デモに参加せず安保条約を支持している国民は多いとの意味)と発言して話題になった。
 現在北朝鮮にいる日本人は、議論が分かれる部分もあるが、4種類。一つ目が戦前、1910年韓国併合のときから定住している人、二つ目が戦後日本人妻、日本人北朝鮮移民として船でわたった人。三つ目が報道陣など旅行などで正式に、数日間の感覚で北朝鮮にいる滞在者。そして、最も議論になるところであるが、犯罪がらみで北朝鮮にいる人。この四つ目の種類の被害者として北朝鮮にいる人が拉致被害者であり、加害者側として北朝鮮にいる人がよど号事件などで北朝鮮にわたった日本赤軍そのほかの人々である。
 四つ目の日本人の存在は、北朝鮮は否定しているものの、実際に存在していることは強く類推される。拉致被害者も戻ってきており、また重房氏なども帰国している。
 さて、その中で日本赤軍などは岸元首相をはじめとする日本の政治を否定する立場にある。すべて一緒ではないが、現在もそのような運動をしている人は少なくない。その、血筋の人で、なおかつ現在もタカ派発言をする、特に拉致問題などに関しかなり厳しい発言をする安倍政権が日本で誕生したことは、北朝鮮にとってあまり歓迎すべきことではない。
 本来であれば、戦争被害国である中国、韓国は北朝鮮と歩調を合わせて安倍新首相を否定する立場にあるはずである。
 しかし、9月26日に誕生した安倍首相を10月8日に歓迎する中国は北朝鮮にとって信じられない話であったにちがいない。さながら、ニクソン大統領が日本を超えて先に米中首脳会談を行ったときの日本と同じである。当時の田中角栄首相は、すぐに中国に赴き、日中平和条約を締結し日中間の国交を回復した。
 現在の北朝鮮の金正日将軍は当時の田中首相のようには行かない事情がある。一つはカリスマであり、そして国内の不穏である。金将軍がこの事態で各国に頭を下げ、結果的に各国のいう通りにすれば、国内の不穏分子は一気にクーデターに走り、金正県は崩壊する。金将軍本人はそれでよいかもしれないが、執行部はそうは行かない。なんとしても、現体制とそれに基づく特権を維持しなければならない。となれば、現行の政策を是認、肯定しなければならず、修正にはそれなりの大義が必要になる。少なくとも、中国を含めた他国の干渉に基づいて国内政策を変えるということは現在の北朝鮮にはできないであろう。
 ようするに、国内の政策を変更することなく、中国やロシア、韓国を自国になびかせなければならず、安倍首相の訪中訪韓を失敗させなければならない。その意味で「核」の札を使ったに過ぎない。このメッセージによって中国や韓国はアメリカよりの政策を改め、そしてアメリカよりの日本を前の大戦を餌に排撃してくれることを希望したものである。

 第三番目の理由は、二番目の要因と重なるが、中国との関係の悪化である。
 昨今、中国が北朝鮮との関係を悪化させている。その理由は漏れ聞くところ以外はなく、確認は困難であるが、以前のような蜜月とは異なるもののようだ。
 中国は、北朝鮮を反米の一つのシンボルであり、実験場として使ってきた。最も過激な部分を、ソ連崩壊後北朝鮮が担ってきた。その北朝鮮の政策に対するアメリカや日本の反応をみながら、中国が政策を決定したり、北朝鮮への説得を駆け引きの道具に使っていた。言うなれば忠実な犬であった。
 しかし、最近北朝鮮は独自に政策を展開してきている。特にロシアや韓国との融和政策を盾に中国と距離をおいてきた。昨年末から金将軍が中国国内を循環したり、胡主席と会談するなどの写真を公開するなどして、関係改善と改善効果のアピールを繰り返したが、中国は冷ややかな態度をとっている。
 昨今。北朝鮮の地下資源は中国への輸出も行っていない。日本企業が中国へマンガンやウランといった北朝鮮で産出できるものの貿易発注を受けている。原油、軽油などの石油関連資源はわかるが、北朝鮮との貿易対象品目が外国に発注が来るということは、それだけ北朝鮮と中国の関係が希薄になったということと同時に、北朝鮮がそれら戦略物資をため込み始めたということを意味する。
 要するに、今まで反米として様々な実験をさせ、過激さを売りにしてきたキャラクターが、独自に踊り始め、さらにアメリカとの戦争を準備し出したのである。それも、中国の協力がなければ勝てる見込みはないのである。北朝鮮の対米開戦は、そのまま中国の参戦を充てにしたものである。中国は、自分の飼い犬の喧嘩で本人同志が大喧嘩になることを好まない。戦争は、さすがに自分の国の事情やタイミングで行うべきであり、飼い犬の勝手で巻き込まれてはたまらない。
 そもそも六か国協議自体、巻き込まれるのはいやなのである。ましてや、一時はロシアと天秤にかけて独自路線を進もうとした国。疎遠になった国である。
 当然に、今回の事件であったも、北朝鮮の方を持つのは限界がある。自国中国の利益を損なってまで方を持つ必要はない。
 逆に言えば、北朝鮮は核実験を行うことによって、中国との疎遠になった距離を計り、そのうえで自分の立場をよくしよう、反米陣営を固めようという意識が働いたものと考えられる。


 第四の要因として、北朝鮮国内の問題がある。
 複雑に絡み合っているので、すでに少し出ているが、北朝鮮の中は必ずしも金正日という指導者とあおれによる独裁ではない。
 以前、金日成の生前および金正日就任直後は独裁であった。その基盤は、旧日本帝国統治時代の殖産工業とその発展に基づくもので、南の農業資本と北の工業資本という形で分割し、それが朝鮮戦争によって38度線で分断された。
 当然にその工業資本の遺産が機能している間は、北朝鮮も経済的に潤っており、またカリスマ指導者である金日成がそれほどの失政もなく社会主義を浸透させたので安定していた。そのため、出稼ぎではなくお見合い結婚として、北朝鮮に多くの女性が「日本人妻」として船で出向していったことは記録や映像の通りである。
 しかし、技術には革新が必要であり社会主義でその革新を怠った国は、すべて崩壊を招いた。ソ連もベルリンの壁も崩れたし、中国といえど改革解放をとなえ開発区を14の都市に限って行っていたが、今と成っては西側諸国より資本主義経済化している。2002年の全国人民代表者会議(全人代)では、資本主義の政治指導者への組み込みを行う決議がとられ、このことによって一党独裁という以外に経済システムは完全に資本主義型に移行したといえる。
 北朝鮮は、その改革に至っておらず、現在も、秘密ちゅぎ、一党独裁で社会主義経済を遂行している。このことによって、経済の衰退はそのまま一企業の衰退にとどまらず、国全体の経済基盤の沈下を招くことになる。
 これは、等しく国民が十分な食糧と十分な生活力、生活資源を与えられないということを示している。これが、社会的弱者層で少数の場合は、犯罪行為や治安悪化、あるいは脱北者の増加ということにつながるのであろうし、指導者クラスの少数であれば亡命ということになる。
 しかし、その生活不安が社会的強者層、指導者クラス層の多数と成ると、当然にクーデターということが現実化する。そしてその力が拮抗していれば、内戦と成り、圧倒的に強ければクーデターの成功と成る。
 北朝鮮の状況は、秘密主義で情報が少ないことから不明であるが、それでも日常的な脱北者や黄初期のアメリカ亡命など、そして、今回の核実験の朝鮮中央テレビの報道をみて金正日将軍が登場しないこと(アナウンサーの発言からも名前がでてこない)をみると、必ずしも金正日独裁政治ではなく、また、クーデターになり得る分子が北朝鮮の中にあることは容易に想像がつく。
 ましてや、金正日将軍の健康不安に中国の北朝鮮の対応をみていれば、今回の核実験も必ずしも金正日主導であったのか疑わしい部分もある。
 そもそも、金正日自身が軍の集団統治の象徴でしかない可能性も少なくはない。逆にそれだけの指導力で全世界を敵に回す決断をするのであれば、それはそれで日本にとっては問題であり、そのような判断力しか持たない、そのような世界情勢の分析力しか持たない人物を相手に拉致問題などを解決しなければならない。
 しかし、それはないだろう。多分黄書記亡命あたりから、北朝鮮国内では政権争いがあり、金正日将軍を傀儡象徴とする、軍や政治家の集団統治体制ができていると考え、それが、軍の暴走を止められない、戦前の日本陸軍のようなことになっているとかんがえられる。現在の国連大使は、さながら戦前の日本の松岡洋右外務大臣のようなものではないだろうか。
 いずれにせよ、北朝鮮の国内は必ずしも一致した独裁体制で金正日将軍だけを説得すれば何とか成るという幻想は捨てるべきであろう。
 そのうえで今回の核実験を考えれば、北朝鮮における軍備、及びエネルギー政策に不可欠な実験であり、他国に何を言われても行わねば成らないものであったと考えるべきである。それは、経済的にも、国際関係における発言にも、そして何より、北朝鮮国内統治における現在の指導者(指導体制)の絶対的権力の孤児という点でも、また、工業資本の北という過去の遺産イメージの追認識でも、必要なことであると彼らが認識していたことは想像に難くない。

 これらの事情が複雑にからみあって、北朝鮮の核実験は遂行(強行)されたと考える。

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