« 参議院選挙の争点(5) 子育て・教育 | トップページ | 参議院選挙の争点(7) 政治改革・憲法改正 »

参議院選挙の争点(6) 外交・安全保障政策

参議院選挙の争点(6) 外交・安全保障政策

 国ということを考えた時に、外交と安z年保障ということが最も重要な一つの政策であることは、当然のことととして考えなければならない。
 私は昨年の今頃、総選挙を前に「今の論点ハンドブック」という本を出した。実際に、その本の中には、当時の論点が記載されている。あまり売れた本ではないので、なかなか本屋でも見かけることはないが、実際のところ、今になって読み返してみると、我ながらよいことを書いているようい思える。というのもの、昨年の論点と今年の論点があまり変わっていないというのが現状だ。
 景気回復、外交、安全保障など、状況や世界情勢はかなり変わっているものの、日本国の抱えている問題は、そんなに変わっていない。それだけ民主党、ことに鳩山政権が何もしなかったということを示している。ことに、外交と安全保障に関しては、当時の麻生政権に比べて格段に悪化しているといっても過言ではない。
 日米関係を基軸にしている戦後日本の外交を、小沢一郎訪中団が日中関係重視に切り替えてしまった。これと、普天間基地移転問題、そして、それらに伴う鳩山首相の発言の変転の数々は、国際的な日本の信用を完全に失墜させた。信用を失墜させたのは、結局「同盟」と言いながあ、その同盟国に意識がない。同盟国との義務を履行しない。そのうえ、発言が二転三転して信用できないということだ。鳩山首相が変わっても、結局のところが同盟国としての義務の履行を行うかということは、いまだに諸外国から疑問符が付いている。これらh、「民主党が」「鳩山が」「菅が」という話ではなく、「日本人は皆、信用できない」という国家的権威の失墜を招いていることを認識しなければならいであろう。
 それでも、日中関係がうまくいっているのであればよいのだが、残念ながら東シナ海の領有もしくは排他的経済剤水域をめぐり日本との対立は深まっている。ただ単に尖閣諸島の問題だけではなく、接近した領海、もしくは排他的経済水域における軍事行動と威嚇という行為に対して、日本がそれだけの安全保障を得ることができるのか。何のための訪中団だったのか、まったく意味がわからない。
 このような状況下における「外交・安全保障」の各党の政策はどうなっているのであろうか。なお、ここまでは、現在、昨年の総選挙以来の民主党政権の外交、安全保障の実績を解説したものでしかない。各党の政策は、その現在の世界における日本の状況を踏まえたものでなければならないのである。

外交・防衛

<民主党>
普天間基地移設問題は日米合意に基づいて沖縄の負担を軽減。日米地位協定の改定を提起。国連安保理常任理事国入りを目指す。自衛隊などによる海賊対処活動を継続。
<自民党>
沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現する在日米軍再編を推進。拉致問題の進展がない限り北朝鮮への経済支援をしない。インド洋上での補給支援活動を再開。国連安保理常任理事国入りに取り組む。
<公明党>
日米安全保障条約を堅持。米軍再編は抑止力維持と地元負担軽減を実現しながら着実に実施。PKOへの積極的参加。核のない世界の実現を目指す。
<共産党>
普天間基地の無条件撤去。米軍基地の強化、永久化に反対。日米地位協定の抜本改定。「日米核密約」を廃棄し、非核の日本を実現。
<国民新党>
沖縄の過重な米軍基地負担を見直し、訓練の移転、基地の非固定化などによる負担軽減を図る。国際水準に合った防衛力を整備。拉致問題の早期解決。
<新党改革>
日米同盟を堅持。日米安全保障条約を基軸とした安全保障を維持。けん制外交と多元外交を導入し、外交の主導権を握って国益を確保。
<社民党>
日米同盟強化に反対。普天間飛行場の「県外」「国外」への移設に取り組み。日米地位協定を全面改正。非核3原則を法制化。自衛隊を専守防衛に徹した組織に縮小。海賊対処は海上保安庁主体。
<たちあがれ日本>
日米を基軸とした現実的な安全保障を推進。普天間基地問題は「ぶれずに誠実に」解決を図る。インド洋給油活動は再開。領土外交を強化。北朝鮮拉致問題は対話と圧力で早期解決。
<みんなの党>
日米安保体制を基軸とするが、「思いやり予算」の見直しや沖縄の負担軽減などを米国に要求。普天間問題は沖縄との信頼関係を再構築し、合意形成を目指す。国連安保理常任理事国入りを目指す。

 論点は「日米関係」「北朝鮮問題」「世界秩序のための貢献」の三点である。さすがに、世界平和などは政権公約としてあげても、どうにもならない、核兵器を持っていない日本が核廃絶を騒いだところで、あまり意味がない。そもそも軍隊を持っていない日本が世界平和を叫んでも、その実行力はない。しかし、一応日本の国民に耳触りが良いということになれば「世界平和」とか「非核世界」などというものである。しかし、実際その具体策は何も言えない。ただ「国連で訴える」とか「世界に情報を発信する」など、活動している人に対しては失礼かもしれないが、自己満足でしかない主張である。世界平和を本当に願っている人の個人的活動ということに関して、私はそれを否定するつもりはないが、残念ながら、政治の世界、ことに政党の政権公約で具体的実効性のない内容を公約するのは、国民に対して無責任としか言えないのではないだろうか。敢えて、繰り返すが、本当に平和を願って活動している人を否定するものではないので、悪しからず御了解願いたい。逆に、具体的に、政治的な活動としてどのように「世界平和」「非核世界」を実現するのか、その方法を、それを公約する政党は是非「実現可能な範囲で」示していただきたいものである。
 よって、論点は「日米関係」「北朝鮮問題」「世界秩序のための貢献」の三点に絞らせてもらう。
 日米関係の機軸は、一つは、日米安全保障条約、そして、鳩山政権でめちゃくちゃになってしまった普天間基地の移転問題である。もっと言えば、沖縄の在日米軍再編問題をどのようにするのかということに帰結する。
 政府民主党は、「普天間基地移設問題は日米合意に基づく」「日米地位協定の改定」ということを提起した。しかし、そもそも「父米同盟の堅持」とか「在日米軍再編」ということを記載はしていない。この政府は、本当に沖縄そして米軍の事をわかっているのかたまに心配になることがある。しかし、「少なくとも県外」といっていた、前首相の発言を文書の形で否定したのは、一つ評価できるのかもしれない。逆に沖縄の人はこれについてどう考えるのであろうか。民主党のマニフェストを受け入れられる沖縄の人はいるのか、かなり気になるところである。
 日米関係を壊してでも沖縄米軍の撤去などを求めているのは、「共産党」「国民新党」「社民党」である。一方、日米同盟もしくは日米安全保障条約の堅持をしっかりと打ち出しているのは「自民党」「公明党」「新党改革」「たちあがれ日本」「みんなの党」である。要するに、鳩山政権化の与党三党が「日米同盟反対派」であり、それ以外の政党が「日米同盟堅持派」という単純な構造に分かれたところである。
 別な見方をすれば、国際社会の中の日本ということを意識し、また東アジアの平和と秩序を「日米基軸」で考えているのは、今の野党ということになる。日米関係に反対していながら、その先のヴィジョンが全くないのが今の与党ということになるのであろう。
 日米同盟を破棄、もしくは安全保障条約を破棄するということは「ロジック」として可能であるといえる。しかし、そのためには「アメリカに代わる日本を護る」のは誰かということを明示しなければならない。福島瑞穂社民党代表は、大臣であるときに国会答弁で「憲法9条があるから日本は攻められることはない」というが、では「泥棒に入られない」と書いて、家の中においておけば、泥棒に入られることはないのか?という疑問が出てくる。誰かが守っているから、責められていない。警察が守っているから家に泥棒が入らないということが分からないのか。この答弁こそ「平和ボケ」そのものである。平和ボケは、ただ単にぼけているのではなく、「陰に隠れて守っている人々」への感謝の念も喪失していることに気付くであろうか。結局守ってくれている人に「お前たちはいらない」という通告をしているのに過ぎないのだ。それも、軍隊として命がけで守り、そして、訓練をしている人に対してである。そのような話が国際社会で通るはずがない。沖縄の問題は、日本国全体の安全保障の問題と日米関係の問題を合わせた問題であるが、現在の与党側の人々には「日本全体の安全保障」の考え方が完全に欠如しているのではないだろうか。そのような政党に安全保障を任せられるか?ということが、一つの争点になる。また、そのように陰に回り守ってくれている人に対する感謝の念があるのか、もっといえば「縁の下の力持ち」に対する感謝の念がない人々を、そのまま国際社会に参加する与党、政府の場に居させてよいのかということであろう。
 
 次の議題は、「北朝鮮の問題」である。
 北朝鮮問題に関しては、記載してあれば拉致問題は、朝鮮半島の非核化ということで記載してあるはずだ。日本において、北朝鮮の肩を持つ論調が存在するということは、少なくとも選挙、政党レベルで存在するとは考えづらい。
 では、その「日本人にとって当り前なこと」に関し、一歩進めて具体的な施策が書いてあるかどうか。これが、政権政党としての問題だ。もっといえば、政権政党である以上、または政権公約である以上、具体策のない「お題目」をいくら並べても意味がない。公約は実行してこそ初めて「公約」であり、残念ながら嘘と実現不能なことを書いても何の意味もない。だから、わつぃは外交、安全保障といえども「世界平和」「非核世界」と書いてあることを徹底的に無視しているのである。
 具体的な施策のない「拉致問題の解決」などと書いても基本的には何の意味もない。そのことは誰でもわかっている。そんなことを「マニフェスト」に書いて解決するのであれば、そもそも「拉致問題」そのものが存在しない。そう考えれば、民主党や社民党が何を言っても、実際に拉致被害者を日本に戻したのは小泉政権の自民党であった。その実績を誰もが認めなければならないであろう。誰かが行ったことを、あとから批評することは簡単だ。しかし、では、今の菅直人政権で、他の拉致被害者を返還させうrことが可能なのか。当時の小泉内閣のように、その交渉を行い、北朝鮮に行って、連れて帰ってくることができるのか。できもしない人に他人を批判する資格はない。それどころか、過去の日本社会党、今の民主党の中にもその出身者は多いが、その社会党は、「拉致はなかった」と言っていたのだ。それは拉致被害者が帰国後も、そのような論文を掲載し続けたのだ。そのような過去のある政党が「北朝鮮の非難」とか「拉致問題の解決」といっても何の意味もない。
 現在の首相菅直人は「シンガンス」という拉致の実行犯でスパイ容疑のある韓国の容疑者の釈放要望書にサインをした経歴もある。そのようなことでよいのか。完全に外交感覚がずれている人が首相にいるということになるのではないだろうか。
 そのような観点で「実効性のある施策を付した北朝鮮対策」を書いているのは、「自民党」(拉致問題の進展がない限り北朝鮮への経済支援をしない。)「たちあがれ日本」(北朝鮮拉致問題は対話と圧力で早期解決。)だけである。これでも具体性はないのかもしれないが、実際の部分、具体性のある内容を記載することもなくただ「お題目」で「早期解決」などとしか書いていないマニフェストに比べれば、どれほどよいか。何も具体策が出ない政党が批判できるものではないことは明らかだ。ましてや、実行犯の釈放署名を行ったり、拉致はなかったといっていた議員のいる政党では話にならない。
 
 最後の論点は、「世界秩序のための貢献」である。
 これに関しても、民主党は先の総選挙で「インド洋給油即時中止」「自衛隊派兵禁止」などと言っていた。それが、一年たたないうちに「自衛隊などによる海賊対処活動を継続。」と言い出しているのである。自民党は、過去の自民党政権での国際貢献を継続再開するという話になっているのであるから、民主党との違いがなくなった。このほかに国連安全保障常任理事国ということも双方ともに入っている。
 実際のところ、具体的な海賊や、給油という問題ではなく、自衛隊という武力組織を使った、世界貢献が何ができるのか、そして、そのための法整備をどのように行うのかという観点である。自民党などは、その自衛隊に対する態度がしっかりわかっているが、では、民主党に「憲法9条を改正する」ことが可能なのか。可能性ではなく、その動きを具体的にするのかということが最大の問題になるであろう。自衛隊を軍隊にというのではなくても、集団的自衛権など現在の懸案内容を憲法や法律の明文化として解決する意思がないのであれば、議論を先送りしたにすぎないということになる。民主党は、自分で言いだしたことを勝手に変えてしまったりするので、その辺は名文、あるいは法律として残しておかなければ、何の意味もない。
 ここでも、民主党が「日本を将来どのようにしたいのか」ということが問われる。綱領のない政党は、アメーバーのように形を変えてしまう。それでよいのか。具体的な施策が時代や環境によって異なることはあっても、その根本の政治原理や政治信条の部分をころころと変えられては、国民は何を信じてよいのか分からなくなってしまうのではないだろうか。

 外交、安全保障の問題は、「普段の生活では何の問題もない」ことなのかもしれない。しかし、シーレーン防衛など、実際は陰に隠れているものの、それらの防衛力があるために、現在の生活が維持されているということを考えなければならない。国民が最も平和ボケしているから、平和ボケ政党がそのまま存在し、政権につき、外国からの信用を失墜してしまうことになる。それでよいのか。
 もう一度、日本という国に関して、そして、子供たちや孫たちにどのような国を残すのか。その日本という国は世界の中でどのように評価される国なのか。そのことを考えなければならない。考えたうえで、参議院選挙の投票を行ってもらいたい。そう願うばかりだ。

|

« 参議院選挙の争点(5) 子育て・教育 | トップページ | 参議院選挙の争点(7) 政治改革・憲法改正 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/115684/48754088

この記事へのトラックバック一覧です: 参議院選挙の争点(6) 外交・安全保障政策:

« 参議院選挙の争点(5) 子育て・教育 | トップページ | 参議院選挙の争点(7) 政治改革・憲法改正 »