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今日は個人的な感慨でブログを書きます ~マイカルがなくなる

今日は個人的な感慨でブログを書きます ~マイカルがなくなる~

 私の本やネットの中で、少々詳しい履歴を見ていただけるとわかると思う。私はマイカルという小売りチェーンの社員であった。もう少し古い人ならば「ニチイ」といった方が良いのかもしれない。全国に284店舗、売上2兆円というチェーンストアの全国4位の会社であった。当時の、売上の順位は1位ダイエー、2位イトーヨーカ堂、3位ジャスコ、4位マイカル、5位西友という感じであった。今残っているのは2位のイトーヨーカ堂と3位のジャスコ(現イオン)だけである。
 マイカルは2001年9月14日に倒産する。その後、倒産会社で珍しくクーデター騒ぎがあり社長が何回も変わるという騒動があった。同日、民事再生法を申請し、その後提携会社探しに外資、ことにウォルマートなどが乗り出すのではないかという憶測報道もかなりあったが、結局、11月22日に会社更生法を申請、12月にイオングループが再生に乗り出して、現在に至る。その間の話はかなり様々な内容がある。多分マイカル倒産直前から、マイカルの混乱、そして、イオンに吸収されるまでのいちれんは、物語にしたらかなり面白いと思う。また、後日談もかなり面白く、クーデターの主役が似たようなことをして仲間を食い荒らしている話など、噂は様々な話ばかりである。
 残念ながらマイカルの倒産間際はあまりほめられたものではない。よく「偶然の不幸が重なる」という事故はある。先日発生した、『酔っ払いがよろけて電車に並ぶ列を押して、先頭の方がなくなった事件』などは、故意犯の説もあるが、多分、「偶然の不幸が重なった事件」であろう。また、マイカル倒産の時期は、「小泉改革」であり「国民も痛みを伴ってほしい」という意味で「構造改革」をしていた。まさにマイカルはまさにその演説後初の大型倒産であったために「小泉改革の犠牲者」と言われた。
 私個人の感想からいえば、いずれも当てはまるし、いずれも当てはまらない。どちらかというと、マイカルの倒産は「人災の連続」であり、倒産するはずのないものが倒産したといっても過言ではないであろう。
・警察官僚の社長就任と、銀行管理に近い財務経理。
・社員とパートが分からない状態での組織論。
・「上位下達型の命令」と「現場主義」という社内矛盾
・クーデターが起きるほどの忠誠心のなさと、それをわからない警察官僚社長
・「外資参入」という根拠のない噂を待つしか能のない経営陣
ということを書いたら、なんとなく「小泉改革」とか「偶然の不幸」という感覚ではないであろう。しかし、実際、メインバンクの統合(みずほ銀行の設立)、時価会計の開始、アメリカSEC基準の登用など、不幸も重なった。もちろんそれらの事象も予想できなかったなど、過失の部分も少なくないのかもしれない。しかし、なんとなく、自滅に近いような感じも少なくないのである。
 それでも、面白い会社であった。私にとってマイカルは社会人としての第一歩を踏み出したところであり、また、今の私の糧になっているものの見方や、外国での仕事の経験など、全て、マイカルで学んだものである。逆にいえば、新入社員時代からかなり好き勝手にやらせてもらった。それだけ、「実力があれば登用される会社」であったと思う。それは「実力がある」だけではなく、実力を経営陣に示す「アピール」や「プレゼン」も学ばなければならないし、もらったチャンスをなんでもこなす、自分の実力を余すところまで発揮し、勉強しながらでも仕事を仕上げてゆくというスキルも身につけた場所である。
 マイカルに限らず、自分の所属する組織にあれば、その組織のよくない部分は必ず目に付くものである。自分という個性があり、その個性と経営方針が100%合致するということは、自分が経営者でなければ実現するはずがない。しかし、そこまで行かなくても自分を成長し、自分のスキルを上げながら仕事ができる会社はそうはあるまい。少なくとも、会社倒産後10年以上もその時のスキルで生きてこられた(全く成長していないというわけではない)のは、マイカルのおかげであると感謝している。
 その「マイカル」がなくなるのである。

ジャスコやサティも店名は「イオン」…来春から

 イオンは27日、グループ中核の総合スーパー「ジャスコ」や「サティ」を運営する100%子会社3社を来春合併し、店名を「イオン」に統一する方針を明らかにした。
 消費低迷で総合スーパーの不振が続く中、コスト削減や宣伝の効率化などに共同で取り組み、収益力を高めるのが狙いだ。国内事業の立て直しで確保した資金は、中国など成長するアジアへの進出に振り向ける方針だ。
 3社合計の店舗数は345店舗、2010年2月期の売上高は約2兆4500億円に上る。総務など間接部門の合理化や、仕入れ、宣伝の効率化などを進める。
 合併するのは、本州と四国にジャスコ254店舗を展開するイオンリテール(千葉市)、サティ85店舗を持つマイカル(大阪市)、日本を撤退した仏カルフールから6店舗を引き継いだイオンマルシェ(千葉市)の3社だ。
 別の子会社などが運営する北海道や九州、海外のジャスコの店名も将来的にイオンに替える方向だ。40年の歴史を持つジャスコの名称が消えることになる。
 イオンは積極的な企業の合併・買収(M&A)で拡大路線を突き進んだが、08年秋の金融危機で大幅に業績が悪化し、10年2月期連結決算で初の減収に陥った。このため低迷する国内事業の収益を改善するためグループの再編を進めている。経営効率化でひねり出した資金を元手に、27店舗の総合スーパーを出店している中国(香港含む)などへの進出を加速する方針だ。

(2010年8月27日21時38分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100827-OYT1T00937.htm

 はっきり言って、買収された会社である。どうにもならないという感じはある。しかし、自分の所属した会社がなくなるというのはこういう感じなのであろう。
 マイカルとは「ヤング・マインド・カジュアル・アメニティ・ライフ」の略語であった。マイカルに来れば、そのような快適で若々しい生活を送ることができるという願いである。当時の社長小林敏峯氏(故人)は「このような立派な哲学を持った会社にいることを誇りに思うべき」と常々言っていた。実際、「哲学だけでは商売にならない」などと思っていたが、それでも、そのような願いを思えば、なかなか感慨深いものである。
 えてして、経営陣の考えることと、社員の考えることは乖離しているものである。ことに、マイカルの場合は小林敏峯氏の考える「哲学」と現場の売り上げ主義とはかなりかい離していた。「哲学があっても売れない」という声は、現場ではかなり上がっていた。しかし、実際、今から考えればどうなのであろうかと思うことがある。そもそも先にあげた社名の由来が「哲学」であるのか単なる「スローガン」なのかは別にして、会社が一丸となる目標を持っていたことは事実だ。問題は、その目標に一致していなかった経営陣で亜ろ。そのことは、倒産時のクーデターで如実に表れた。そのような者達が経営者にいるようでは、会社編持たない。それも「組織管理」を持ち出した警察官僚に対し、その警察出身のほかの役員や官僚出身の天下りたちもこぞって「クーデター」を起こしたのであるから、始末に負えない。そのような「忠誠心の欠如」「統一性の崩壊」「組織になっていない実態」がマイカルの「長所」でもあり「欠点」でもあったのだと思う。
 それら特徴を「長所」と取れば、多角経営には向いていたのではないか。だからマイカルカードやジャパンメンテナンスなど異業種の上場会社を保持していた。また、ワーナーマイカルなど日本初といえる試みも多数行っている。中国の大連での事業などは、投資の回収までは時間がなさすぎたが、それでも成功した方の事業であろう。一方で、「短所」と取れば危機管理にこれほど弱いものではない。ばらばらで忠誠心がないということはパニックを起こすか無関心か。いずれにせよ統一した対策が最も取れない状況だ。
 その「短所」の場面が色濃く出たのが倒産と倒産時の混乱だろう。
 さて、このような感慨。今の日本に当てはめてはいかがであろうか。今日本が危機になった時に、国民は「忠誠心」はあるのか。そもそも「何に対しての忠誠心」かわからないのではないか。「統一性」はあるのか。多様化、個人主義が徹底して、実際は日本が危機になれば日本を逃げ出す人の方が多いのではないか。そもそも、日本への愛国心があるのか。統一性を保つことができるのかははなはだ疑問だ。「組織になっていない実態」これで「危機に対して一丸になって対処する」ことができるのか。国内で危機に対する対策に批判や責任回避が相次ぎ、実際に何もできなくなってしまうのではないか。
 単なる感慨で今日は文章を作った。昨日までの入院の後遺症もあるであろう。しかし、実際に、マイカルという会社の倒産その物の、日本国に置き換えて、「危機管理」ということで考えることはできないであろうか。

 そのような「危機管理」ができない組織の末路は「名前さえもなくなる吸収合併」であった。将来の日本を象徴するものでないことを祈るばかりである

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コメント

就職活動のとき、ニチイを受けることを真剣に検討していたので、他の大型スーパーの栄枯盛衰も思い浮かべつつ、なんとも複雑な思いで読ませていただきました。(´-д-`)

投稿: yakamoto | 2010年9月 1日 (水) 09時22分

興味深く読ませていただきました。

投稿: 元社員です | 2016年7月 9日 (土) 00時20分

SVやバイヤーを経験した早期退職組の一員です。
衣料関連でしたが今は医療関係hospitalで働いています。

投稿: matsunaga | 2016年8月 5日 (金) 05時06分

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