陸山会裁判で小沢一郎氏の証人喚問
陸山会裁判で小沢一郎氏の証人喚問
政治の世界において刑事事件の訴訟は特に大きな関係があるわけではない。しかし、その被告人が小沢一郎氏となればかなり大きな政治的な影響が出る。
陸山会訴訟に関しては、様々な人が多くのことを言っている。私はあえて、小沢氏の有罪無罪に関してはここで言及はしない。しかし、土地購入の事実があり、支出があるのにかかわらず、その出金が記載されていないということは実際の事実としてある。
犯罪は、「構成要件該当性」「違法性」「責任」の三つの要素から成立する。構成要件該当性とは、その犯罪と思われる行為が法律で禁止されているということ。要するに名分で違反していると書いていないことはいくら道義的におかしなことでも、道徳的に間違えていることでも、それは犯罪とはならない。違法性とは、その上位が違法でなければならない。たとえば消防士が消火のために火事になっている建物の窓を壊しても、それは、消火のための作業でしかないので違法ではない。器物損壊罪にならないということになる。そして、責任。誰がやったのか、またその犯罪を行った人が責任能力があるのかということが大きな問題になる。猟奇的な殺人事件などで精神鑑定を行うのはまさにこのことである。
今回の事件は、政治資金規正法に違反した事実があり(構成要件該当性)そして、違法性もある。とくに違法性を阻却する内容は何もない。要するに、「責任が小沢一郎氏にあるのか、他の人にあるのか」ということの争点であると言える。
その意味では、注目の本人被告人質問であり、また、その中において他の事件の疑問にどれくらい答えるのかが焦点となった。
小沢元代表:「実務は秘書任せ」 事件への関与を否定
資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第12回公判が10日、東京地裁(大善文男裁判長)であり、被告人質問が始まった。元代表は弁護側の質問に「土地購入を了解し、資金を用立てた段階で私の行為は全て済んだ。他の実務的なことは一切、秘書たちに任せていた」と、事件への関与を否定した。
また、収支報告書を確認したことがあるかを尋ねられた元代表は「今までに一度もない」と述べ、記載内容に関する報告や了承はなかったと強調。「秘書たちには自主的判断で仕事をしてもらっていた。干渉していては任せる意味がない。私の関心は天下国家のことだ」と付け加えた。
陸山会に提供した4億円については「多くは両親から相続した不動産・現金。著書の印税もかなりあったし、議員報酬などもある。もろもろのお金でそれなりに所有していた」と述べ、「水谷建設」などゼネコンからの裏献金受領は否定した。
4億円を巡る元代表の説明は「家族名義の口座などから引き出した資金を事務所の金庫に保管」(10年1月、東京地検特捜部の最初の聴取後の記者会見)、「帳簿などの記録も記憶もない」(10年5月の3度目の聴取)などと変遷していた。
指定弁護士の冒頭陳述によると、陸山会は元代表提供の4億円で土地を購入し、これを隠すため同額の銀行融資を受けて収支報告書に記載したとされる。元代表は融資の際、元秘書で衆院議員の石川知裕被告(38)=1審有罪、控訴中=から求められ関連書類に署名・押印し、指定弁護士側は「関与を示す状況証拠」とみている。元代表は被告人質問で「(石川議員から)具体的説明はなかったが、土地購入のこととは思った。以前にも(同様の手続きをしたことが)あり、疑問に思わなかった」と説明した。
被告人質問は11日までの2日間行われる。【和田武士、鈴木一生、野口由紀】
◇小沢元代表の起訴内容
04年10月12日ごろ4億円を陸山会に提供し、同会が同29日までに東京都世田谷区の土地購入費として約3億5200万円を支払うなどしたのに(1)同会会計責任者だった大久保隆規元秘書や、事務担当者だった石川知裕衆院議員と共謀し、その事実を04年分政治資金収支報告書に記載せず(2)大久保元秘書や、石川議員の後任の池田光智元秘書と共謀し、土地購入を05年1月7日と偽って05年分報告書に記載し--それぞれ総務相に提出した。
毎日新聞 2012年1月10日 11時22分(最終更新 1月10日 13時15分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120110k0000e040155000c.html
小沢元代表:「金庫番、事務所にいない」語気強め潔白主張
「市民」の手で刑事被告人となった政界実力者の公判は最大の山場を迎えた。東京地裁で10日始まった民主党元代表、小沢一郎被告(69)への被告人質問。「三権分立」などを理由に国会での説明を拒み、法壇の裁判官と傍聴席の視線が注がれる中、元代表は時折言葉を選びながら「潔白」を主張。「自分の事務所に金庫番はいない」と語気を強め、裏金作りなど不透明な資金の流れがなかったことを暗に強調した。
元代表は東京地検特捜部の不起訴処分後、市民で構成する東京第5検察審査会の2度の議決を経て強制起訴された。昨年10月6日の初公判では「検察の不当捜査で得られた調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づく裁判は打ち切られるべきだ」と無罪を主張した。
この日は午前8時半前、自宅前から無言で車の後部座席に乗り込み、東京地裁へ。午前10時少し前に、いつも通り国会議員バッジをつけた濃紺のスーツに身を包み、104号法廷に姿を見せた。法壇近くで立ち止まり、裁判官に一礼。弁護団の間に腰をおろすと、大きく息をつき、口元を何度か動かした。
主任弁護人の弘中惇一郎弁護士から「秘書とは」と問われ、「政治家と秘書は法律に規律されている関係ではない。秘書は機密を見たり聞いたりすることがあり得る。本当に信頼した人間関係の中で仕事をしている」と強調。上司と部下の立場ではなく、仕事を任せられる相手と位置づけた。その上で「俗に世間で経理担当を『金庫番』と言う人がいるが、私の事務所ではそういう(不透明さを伴った)言葉で言われる人は四十数年いない」と語気を強めた。
問題の土地購入時に提供した4億円については「私の場合、(資産の)ほとんどを現金で所有していた」と説明し、資産内容として「両親からの不動産と現金の相続」「本の印税」「40年来の議員報酬」「東京・湯島の自宅の売却益」「家族名義の貯金」を列挙。「水谷建設などのゼネコンなどから仕事絡みの金をもらったことはないし、秘書がもらったこともないと確信している」と強調した。
さらに「天下国家の政策論は貫かなければいけない。(マスコミの)理由なき批判によって自分の行動が左右されることはない」などと持論を展開した。
公判前には48の傍聴席に対し、1052人の希望者が地裁前で列を作った。【石川淳一、島田信幸、山本将克】
毎日新聞 2012年1月10日 12時04分(最終更新 1月10日 13時19分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120110k0000e040162000c.html
小沢元代表、法廷:元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士、作家の三好徹さんの話
◇元代表の認識が焦点--元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士の話
被告人質問のポイントは二つ。小沢元代表は、土地代金として石川議員に4億円を渡し、銀行からの同額の融資関係書類にサインしているが、どうしてそうする必要があったのか。その必要性を、元代表自身がどう認識していたかが一つ目のポイントだ。もう一つは、土地登記を翌年に先送りすることを聞いたと元代表が認めるかどうか。この2点の答えようによっては故意が認定される可能性がある。
◇弁護側の出方に興味--作家の三好徹さんの話
小沢元代表は無罪主張の根拠として自身への報告や了承を認めた石川知裕衆院議員の供述調書を「検事の作文だ」としているが、それだけで無罪を勝ち取るには弱いと思う。弁護側が今後、有力な証拠を出してくるのか、被告人質問で有利な供述を引き出せるのか、興味を持って見ている。また、元代表は4億円の由来について「以前から持っていた」として、それ以上の説明をせず、一般人の感覚からすると首をかしげたくなる。
毎日新聞 2012年1月10日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120110dde041010023000c.html
この問題に関して言えるのは、小沢議員と秘書の関係がどうかということ。もっと言えば、この供述が事実でない場合は、当然に小沢氏は自分が無罪になるために、元秘書達を犠牲にしたことになる。それならばなぜ石川、池田、大久保の各秘書は「自分がやった」といわないのか。単純に言えば、三人の秘書と小沢氏の供述は食い違ったことになる。
また四億円の出所に関しては、様々な財源を言った。しかし、それらに関して「証拠はない」という。単純に言えば、相続ならば相続税があるはずであるし、家族名義ならば家族からの借入の証拠があるはずだ。それらがないというのはどのようなことを意味しているのか。
実際に小沢氏クラスの政治家がこれくらいの金銭を所持していても全く不思議はない。しかし、実際にそのことを「隠さなければならない」という事情は「痛くもない腹を探られる」状態になるのではないか。あくまでもここでは有罪無罪を語らないものとする。しかし、その内容に関して言えば、有罪とか無罪とかではなく、何かを言えばまた新たな疑問が出てくるすっきりとしない内容でしかなかったことは否めない事実だ。
同時に、その質問に関して「天下国家の政策論は貫かなければいけない。(マスコミの)理由なき批判によって自分の行動が左右されることはない」ということを言うが、自分の事務所を管理できない人に国家が語れるのか、自分の会計ができない人に、国の財政を任せることができるのか。そのことに関して被告人自身がどのように考えているのか。政治家として「国家」や「政治」を自分の個人的な事象(それが刑事裁判であっても)の言い訳に使うというのは、政治家としてどういうことなのか。この訴訟そのものよりも、この訴訟における小沢氏の態度または発言が最も国民の信任を失っているのではないか。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 宇田川敬介東アジア放蕩覚書(57) 私の中国における訴訟実績(1)(2012.05.27)
- 都合の良いタイミングでの「国債格下げ」報道における財務省の国民騙し(2012.05.25)
- 「絆」という美しい日本語はどこへ?、北九州の人たちは日本人として恥ずかしい(2012.05.24)
- 「恫喝文」なのか「抗議文の書き方も知らない」のか、中国の失礼な文書(2012.05.23)
- 消費税増税と経済成長を国際公約する野田外交(2012.05.22)

コメント