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二つの流通戦争の行方を左右する顧客の動向

二つの流通戦争の行方を左右する顧客の動向

 アベノミクスといわれて三ヶ月たつ。昨日は春分の日で祝日であったために、甘利ねたもないので、今日は、このブログでは久しぶりとなる流通業のことを書いてみようと思う。
 三月に入って流通の大きなニュースが二つは言ってきた。流通業は、大阪発の者が多きために、2月末決算、5月株主総会のところが比較的多い。そのために3月に他の業種に先んじてさまざまな動きを行うことが多い。特に商社やメーカーなどの決算期に合わせてその会社会計上赤字にしないための、部門売り(事業譲渡)や店舗の売買、または新規事業の進出などを行うのは大体3月になってしまう。
 その上で、今回入ったのはイオンによる将来的にダイエーの子会社化を含む株式の取得である。
 このことは二つのことが言える。現在ダイエーの株主は丸紅、要するに商社である。商社が直接小売業を行うというと言う構造が実は、簡単に見えてそうではないということが、バブル崩壊後の流通業の相次ぐ倒産劇で明らかになった。三菱商事から出向したライフコーポレーションの社長も、すぐに清水会長によって更迭されてしまったし、現在三菱商事から行ったローソンの新波社長も、ローソンの取引に三菱商事を使わないことがあるなど、さまざまな軋轢を生んでいる。このほかにも伊藤忠や三井物産など、総合小売業だけでなく、電気専門店などの経営を直接行うのに関して、顧客のニーズや訴求効果を完全につかむことができずに、小売業から撤退したと言うニュースは、バブル以降それほど珍しいものではなくなってしまっているのである。
 今回は、丸紅がダイエーの株を10%ほど売却し、将来はイオンが過半数の株を取得して子会社化するという計画のようである。
 私がマイカル(当時はニチイであったが)に就職したとき、ダイエーは中内功氏の時代で、小売業のトップ、二位がイトーヨーカ堂、ジャスコ、ニチイと続いていた。ダイエーはそれまでの百貨店の売り上げを抜きまさにチェーンストア黄金時代とも言える発展を遂げ、ハワイのショッピングセンターの買収やプロ野球チームダイエーホークスの買収などを行っていたのである。現在そのマイカルもイオングループの中に入っていることから、総合小売業の大手五社のうち、私の入社当時の1位3位4位がイオングループに入ったと言うことができる。
 当時小売業の間では「バブル崩壊といってもいつまでも経済が低迷するはずがない」と、小売業の中では物を売るということに関してしっかりと行っていた。しかし、元来小売流通は「薄利多売」を旨として行っていたために、不動産投資特に、所有不動産の簿価資産との乖離がおおっ苦なってくると、有利子負債が非常に大きな負担になり、そのために、非常に大きな問題が発生したと言うことになったのである。その大きな問題を解消できないと、ダイエー・マイカル・西友のように経営が破綻するということになるのである。
 逆に言えば、当時イオン(ジャスコ)は、あまり地代が高くないところに広大な土地を購入し、自動車による買い物を進めたために、土地購入資金の負担が少なかった。また、イトーヨーカ堂は賃貸物件が非常に大きかったために、売り上げが悪くなった店舗における撤退などがかなり流動的に行えた。そのことによって、不動産試算の負担が足かせになることなく経営を行うことができたのが、現在につながっている、と言う評価も存在するのである。

イオン、ダイエー筆頭株主へ…子会社化も視野

 流通最大手のイオンが商社大手の丸紅に対し、丸紅が保有する約29%のダイエー株の買い取りを打診し、筆頭株主となる方向で調整に入った。
 イオンはダイエーに対し、株式公開買い付け(TOB)で過半数の株式を握る子会社化も視野に入れている。実現すれば、8694億円のダイエーを加えて全体の売上高が6兆円を超える巨大流通グループが誕生することになる。
 現在のダイエーの出資比率は、1位の丸紅が約29%、2位のイオンが約20%。丸紅は10%程度の売却をイオンに提示している模様だ。4月までの交渉決着を目指しているが、条件面で意見の隔たりもあり、交渉が長期化する可能性もある。
 イオンは、自社の食品スーパーの「まいばすけっと」や、傘下に収めることを決めた「ピーコックストア」や「マルエツ」などと合わせ、食品スーパー部門を強化したい考えだ。
 購入金額は100億円前後と見られる。ダイエーは商品力の強化や出店戦略でイオンの経営ノウハウを導入し、抜本的な経営改革に取り組む。

読売新聞2013年03月17日08時43分
http://news.livedoor.com/article/detail/7506977/

「JR西」Vs「阪急」 大阪駅北口で“代理戦争”勃発 90年の因縁…顧客争奪へ

 JR大阪駅北側に4月26日、阪急電鉄が運営する商業施設「グランフロント大阪 ショップ&レストラン」がオープンする。この真向かいにはJR西日本の専門店街「ルクア」がある。両施設の戦いは、関西私鉄の雄たる阪急と西日本に広大な路線網を持つJR西日本との「代理戦争」でもある。(松村信仁)
 大阪最後の一等地といわれ、脚光を浴びる大阪駅北側の再開発地域「うめきた」。間もなくお目見えする「グランフロント大阪 ショップ&レストラン」のテナント数はルクアの1・3倍の266。1店舗あたりの面積は平均165平方メートルとルクアの約2倍だ。中でも、無印良品や紀伊國屋書店は約3千平方メートルと、ともに西日本最大級の店舗に。グランフロント全体の初年度売上高目標は400億円とルクアを上回る。
 迎え撃つルクアも20~30歳代男女をターゲットに、値頃感のある商品を集めて集客。平成23年5月の開業から1年間で、目標の1・5倍にあたる370億円の売上高を稼ぎ出した。2年目(24年4月~25年3月)もほぼ同水準の見通しだ。
 JR西と阪急との戦いの歴史は90年ほど前にさかのぼる。明治22年に国鉄(現JR)東海道線が東京・新橋から神戸まで開通。阪急は神戸線が大正9年、京都線が昭和3年に京都・西院へ乗り入れたのを機に、両社の顧客争奪戦が始まる。
 かつては長距離輸送の国鉄、地域輸送の私鉄とのすみ分けがあったが、昭和62年の国鉄分割民営化で様相は一変。JR西は京阪神を結ぶ「新快速」を増発。一方の阪急は特急の停車駅を増やし、途中駅の利用客をこまめに集めた。JR大阪駅の1日平均乗降客数は約81万人(平成23年度)、阪急梅田駅は約52万人(23年)。広範囲に及ぶ鉄道網を持つJR西に軍配があがる。
 しかし、百貨店では阪急が優位だ。阪急は創業当初から沿線での宅地開発や娯楽施設などを整備。昭和4年にできた阪急百貨店梅田本店もそのひとつ。平成24年11月下旬に売り場面積を建て替え前の1・3倍の8万平方メートルに拡大。同年末までの1カ月余りの来店客は前年同期比2倍、売上高も1・6倍に達した。
 一方、JR西は百貨店「JR大阪三越伊勢丹」(23年5月開業)が営業不振で、開業初年度の売上高は310億円と目標の6割程度にとどまった。
 少子化による沿線人口の減少で、鉄道業界は本業以外での事業強化を迫られている。JR西と阪急の商業施設での戦いは、グループ全体の浮沈にもかかわってきそうだ。

産経新聞2013年03月16日15時17分
http://news.livedoor.com/article/detail/7505768/

 小売業のうち、二つの考え方がある。ひとつは、「土地代などの初期投資をかけないで、なるべく早く投資を回収する」という考え方である。もうひとつは「土地代をかけても自然と集客できる場所に出店し、高売上げ高収益を目指す」という考え方である。前者の考え方がイオンの考え方であるとすれば、後者の考え方が「大阪駅前百貨店戦争」と言うことになる。
 大阪駅前戦争は、駅前立地での百貨店の大型出展の中の「最後の一等地」といわれる場所だ。過戦前から阪急電鉄の小林社長が駅のターミナル化構想によって百貨店を阪急梅田駅の隣接地に百貨店を作った。その百貨店は、非常に流行した。この大正14年にできた阪急百貨店は、日本のターミナル百貨店の多くの模範となっているので会うr。
 しかしそれを快く思わないのがJRである。とくにJR西日本は、そのターミナル百貨店の創始者に対して挑戦するのである。しかし、ターミナル方の百貨店は大正時代とは違い、すでに珍しいものではなくなってしまっている。平成の世になってからは大阪駅前の一等地であっても伊勢丹が営業不振になるなどの大きな問題を抱えているのである。
 基本的に「駅前立地」であり、店舗前の交通量が多いからといって、その交通量に見合った売り上げがあるというわけではない。基本的に顧客の取りやすい商品ほしい商品が無ければ、顧客は全く振り向かないで「素通り」してしまうのである。これでは話にならない。大阪であれば大阪のニーズを考え、その上で商品に「付加価値」をつけなければ商品に関する利益は発生しないのである。
 では、その顧客の動向はどのようなものであろうか。単純に今までのデフレの時代は「安いもの」という感覚であったのであるが、これから「アベノミクス」が成功すれば、単純に安いものではなく「よいもの」を欲する顧客が増える。その「よいもの」を以下に「よいもの」として売るか。
 上記のようにイオンやイトーヨーカドーは、資本費を少なくすることによってその内容を軽減してきた。もちろんそれがデフレの時代には適合していたかもしれないが、実際にその内容が今後のインフレの時代にも適合するかどうかは別の問題である。同時に生活必需品や安いブランドばかりを並べているということが今後の内容でよいのか。それは単純に「アベノミクス」だけではなく、品質思考の顧客に対して中国産や韓国産の商品ばかりを並べていて大丈夫かということにもつながるのである。
 百貨店とスーパー、いずれも総合小売業として生き残ったところはデフレ経済に適合した人々である。しかし、そのことが時代が変わったときにしっかりとした経営基盤として成立するかはかなり疑問である。

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