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アベノミクスは順調だが戻らない消費者

アベノミクスは順調だが戻らない消費者

 アベノミクスという言葉は昨年末の造語だ。安倍首相の経済政策でエコノミクスと言う言葉とをあわせたものである。
安倍首相は、昨年末の総選挙で経済政策重視を早々に打ち出し、その経済政策において、インフレターゲット2%上昇を行うことにした。そのために金融・財政政策を消費者物価とデフレ脱却に重点を置くものとして行ってきているのである。これに抵抗を示していた白河前日銀総裁は2月のうちに示威を表明。次の日銀総裁に関して与野党の攻防が激しさを増したのは2月から3月にかけてのことである。2月の初旬にはアジア開発銀行総裁で元財務省官僚であった黒田東彦氏を日銀総裁に指名するのではないかと言うことが歩道に流れたのである。当然に、アベノミクスの政策に非常に近しい考えを持った人であることは間違いがないことである。岩田喜久雄学習院大学教授の副総裁就任に関しても同様の評価になっている。
 さて、しかし、実際に日銀から各金融機関に対する貸付が多くなっても、または、日銀がさまざまな資産を買い取ったとしても、実際に消費者の死の効果が出るのは先のことである。安倍首相は「インフレターゲット2%に関しては日銀も責任を負う」「雇用に関しても日銀がその責任の一端を受け持つべき」とし、また、政府としては異例の経団連に対する給与引き上げ要請を行う問うことをした。これは当然に、政府そのものが経済界において消費者物価や雇用給与までの決定権がないことに対する次善の策でしかない。
 逆に政府、首相がそこまでしなければならないと言うことは、逆に言うと、経済界の動きが非常に遅く、また、経済の復活、デフレ脱却がかなり遅いと言うことがいえるのではないか。ある意味で、政府与党の考えた速度と経済界の実際の動きにかなり大きな差があるのではないかと考えられるのである。
 そのことを示す数字が、1月の統計で出たのである。消費の中心であるスーパーマーケットの売上高がまだまだマイナスであると言うこと、そして外食産業の売り上げもマイナスと言うことで、基本的に、消費者の間、要するに国民の間でまだアベノミクスは「実感」として広まっていないと言うことになるのではないだろうか。

スーパー売上高、1月もマイナス 生活現場は「まだ防衛型」

. 日本チェーンストア協会が21日発表した1月の全国スーパー売上高は、前年同月比4・7%減の1兆688億円(既存店ベース)となり、11カ月連続で前年実績を下回った。
 「アベノミクス」に伴う景気回復への期待感や円安・株高傾向が強まっている一方、足元の消費マインドは「いぜん『防衛型』が続いている」(同協会)といい、好影響が生活現場に及ぶまでは、しばらく時間がかかる見通しだ。
 品目別では、売上全体の6割を占める食料品が野菜の相場高などで3・8%落ち込んだことが響いた。衣料品は、昨秋の寒波襲来によって「冬物ニーズを先食いした反動」(同)から11・0%減。住関連品もテレビゲームや医薬品、白物家電などが不調で4・7%減だった。
 一方、百貨店業界は1月の売上高が0・2%増と、2カ月ぶりのプラス。好調だったのは時計や宝飾品などの高額商品で、商品構成の差が売り上げの回復を左右した形だ。チェーンストア協会の井上淳専務理事は、会見で「回復ムードを一過性にせず、経済全体を上昇させる策が必要。今後が正念場だ」と、国の経済政策への期待を述べた。

産経新聞2013年02月21日16時40分
http://news.livedoor.com/article/detail/7432430/

外食売上高、2か月連続マイナス…冷え込み影響

 日本フードサービス協会が25日発表した1月の外食産業の売上高は、前年同月比2・2%減と2か月連続で前年を下回った。
 厳しい冷え込みや大雪で客足が減り、消費者の節約志向のため1人当たりの購入額も落ち込んだ。
 業態別の売上高では、ファストフードが5・3%減。新商品を絞り込む動きが目立ったが、裏目に出た。ファミリーレストランは2・6%増で、食中毒事件の影響で売り上げが落ち込んでいた焼き肉店の業績回復が進んだことが数字を底上げした。パブ・居酒屋は4・4%減だった。
 同協会は「2月の売り上げ状況はやや上向いており、本格的な景気回復を期待している」と話している。

2013年2月25日(月)18時23分配信 読売新聞
http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yomiuri-20130225-01014/1.htm

 売り上げは上がっていなくても、実際に売り上げが戻る「兆し」は見えてきている。小売業をやっていた経験からすれば、正月、ひな祭りなどのイベントにおける売り上げの伸びは非常に大きなものであると言える。しかし、日常的な買い物に関しては「安い」物しか売れない。それだけではなく、各スーパーなどの小売業はPB商品などを次々と出してきて試合、中間マージンや帳合がなかなか堕ちなくなってしまっている。SPA、要するに製造直販のような形も非常に多くなってきているため、デフレ構造は非常に大きく拡大してしまっているのではないか。
 その中において売り上げを上昇させると言うことは、至極単純に、金融商品や給与を上げるだけではなく「ほしい商品を並べる」と言うことをしなければならない。ではどのようにしてほしい商品を並べるかと言うことは、簡単に、これだけ趣味や生活様式が多様化した中においては、「選択肢を増やす」と言うことが最も重要であると言うことになるのである。そのような中でPB商品ばかりでは、顧客も飽き飽きしてきてしまうのではないか。
 このような状態のときに、最もチャンスが広がるのが「百貨店」要するにデパートである。ある意味で、デフレ脱却を先取りする商品ラインアップをすることができるのは、PB商品の少ない百貨店業態のほうなのかもしれない。
 いずれにせよ、「デフレ」時代に商品を売れるようにするために有効であった販売戦略は、いずれも有効ではなくなってしまう。バブルのような商売を白とはいえないがデフレのときとこれからインフレに向かうときとで販売戦略を変えなければならない。当然に、その販売戦略の差に関していえば、今までバブル崩壊後では経験してこなかった内容になることになると思う。
 しかし、実際に消費者に関して言えば、「ほしいものは買う」と言うだけの話である。消費者の消費性向から考えれば、必要なものは買わなければならない。しかし、必要なものだけが売れる世の中では「景気が良くなった」とは言わない。ひとつ上の生活を目指す、またはそれなりの「ご褒美」の日が多くなると言うのが発展のしるしである。そのように考えれば、その「少し贅沢」を演出できる、そして実感できる商品をそろえなければならない。日常の「必要なもの」に関しては「PB」でできてしまうのであろう。しかし、それ以外の商品の選択肢を奪うことは、そのまま消費不況が継続することを意味するのではないか。そしてそれらの商品は、付加価値、それは商品そのものだけでなく、接客サービスなどの面も含めての付加価値を持って、顧客と接することによって行われるものではないのか。
 そのような意味で考えれば、企業、特に消費者の窓口になる小売業や外食産業がデフレからいち早く脱却しなければ、当然に消費不況は継続してしまう。もちろん、それらに補助金を出せとか政策的に優遇しろと言うのではない。企業が自ら好景気の時代に変化することが求められるのである。そしてそれらができない企業は自然に淘汰される世の中でなければ、なかなかアベノミクスは、最終的に成長戦略を実行することにはならないのではないか。そのような意味で「ほしいもの」を作り出す、そしてみんながそれを目指す世の中にしなければならないのではないか。

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