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韓国出張報告の一部より現在の韓国の「政治不信」と今後の韓国の政治に対する日本の対応について意見

韓国出張報告の一部より現在の韓国の「政治不信」と今後の韓国の政治に対する日本の対応について意見
 先日、韓国に出張に行ってきた。基本的にかなり面白い内容だったと思う。地齋のところは韓国の朴槿恵大統領のデモを取材に行っただけではないのであるが、やはり韓国の人と話していると、どうしても「大統領弾劾」という、韓国の国を挙げての大イベントが気になる。あえて「大イベント」という書き方をするのは、一つには、「もうイベント(お祭り騒ぎ)のように盛り上がっている」ということがあげられるのであるが、もう一つは、私のような外国人が「政治活動」であれば、多少気が引けるところがある(内政干渉になる)が、しかし、「イベント」「お祭り」であれば、私のような韓国から見て外国人が参加しても、そんなに問題にはならない。
  そのうえで、「弾劾手続き」が決まった後の、「早くやめるべきだ」というデモは、実際には、すでに結論が出ていることであり、そのうえでその結論を速めてほしいという国民の行動は、そもそも政治的な方向性を変えるという話ではない。つまり政治的な変化があるということではないであり、そのデモは「政治」とは基本的に関係がないのである。そのように考えれば「政治活動」とは、厳密にはいいがたい部分があるのではないか。そのように感じているのが現状なのである。
  さて、そのうえで、韓国の現在の内容を見てみると、なかなか面白いところが少なくない。基本的に現在「次に大統領候補」といわれる人が「全員抗日主義者」である問うことが日本では話題になっているが、韓国人は、「抗日にするために大統領を変えるわけではない」ということがありありと見える。実際に、朴槿恵反対デモなどを見ていると、その中には「日本人」がかなり多く含まれているばかりか、ほかの国の人(北朝鮮などというのではなく純粋に世界各国からたまたままたは駐在で韓国に来ている人という意味)が非常に多いことが見える。その人々が、韓国全土から観光バスを連ねてソウルにやってくる。ではバスに乗れなかった人はどうするのかといえば、実はその町やその市町村の広場などで、同じようにデモをやっているのである。日本では「100万人」という数字が独り歩きしているが、実際に、「ソウルに集まっただけでは100万人かどうかはわからないが、外の市町村で行っている人を見れば、100万人を超えていることは間違いがない」というのが、韓国に行ってわかることである。日本のマスコミがソウルでしか取材していないので、その映像しか見ていないが、映像以外にも様々な動きがあり、驚くことは少なくない。
  その意味で「弾劾可決」というのは、非常にインパクトの強い内容である。
韓国政治の未熟な実態を物語る、朴槿恵「弾劾案可決」
 韓国国会は先週、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追案を可決した。朴は職務停止となり、黄教安(ファン・ギョアン)首相が代行する。今後は憲法裁判所が最長180日以内に弾劾の可否を審理する。
 大統領の弾劾プロセスは2つに分かれる。まず、国会での弾劾訴追には、300人の国会議員の3分の2の賛成が必要だ。先週の採決は、賛成234票、反対56票だった。
 可決に必要な200票を大きく上回る投票結果は、法的判断のみを行うのが建前の憲法裁判所に微妙な政治的圧力をかけることになりそうだ。過去2カ月間、国政がほぼ機能停止状態に陥っていることを重く見て、憲法裁は比較的早めに結論を出すと示唆する観測筋もいる。
 憲法裁の審査でも、3分の2以上の賛成が必要になる。9人の裁判官のうち6人以上が賛成すれば、弾劾が成立し、朴は罷免される。
 弾劾審査と並行して、特別検察官の捜査も行われる。朴は一貫して違法行為を否定してきた。「親友」の崔順実(チェ・スンシル)に過大な権限と利権を与えたことは認めるが、犯罪行為には当たらないというのだ。特別検察官の最終報告は1月~2月初めに出るとみられる。憲法裁は、それを待って判断を下す可能性がある。
 一方、左派系の野党勢力は今後も抗議活動を続ける構えだ。ソウルで10月末に始まった週末の大規模デモは、今や参加者が200万人を超えた。国会内の激しい非難と相まって、朴は結局、失職に追い込まれると予測する専門家は多い。
 朴が現職の大統領でいる間は憲法の規定上訴追の対象にはならない。だが、失職すれば単なる民間人になる。その後に朴が刑事訴追を受けることは、ほぼ確実視されている。その結果、投獄される可能性もある。
 今回のスキャンダルのせいで、「近代的な国家」だったはずの韓国の面目は丸つぶれだと、多くの観測筋は口をそろえる。実際、「崔順実ゲート」はこの国に巣くう縁故主義と腐敗の深刻さを改めて浮き彫りにした。国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが発表する腐敗認識指数でも韓国は世界で37位と振るわない。
 「崔ゲート」でこの問題が最大の内政課題になった今、政界の浄化が早急に求められている。特に必要なのは政財界の癒着を絶つ「万里の長城」だ。「崔ゲート」でも過去のスキャンダルと同様、巨大財閥がらみの疑惑が次々と浮上した。
 未熟で透明性に欠ける韓国政界の体質も露呈した。「崔ゲート」の始まりは朴が大統領に就任した13年。それが最近になって明るみに出たのは政府がひどく「不透明」だったからだ。
   機能した憲法プロセス
 朴の統治スタイルは、超然とした貴族のよう。メディアに対しては、(多くが台本ありきの)記者会見を年に1度開くだけで、政権に批判的なジャーナリストや報道機関を何度となく攻撃した。大統領府のスタッフも、それに加担していた。
 一方、野党の左派勢力は危険な火遊びに走った。先週、弾劾訴追案が否決されれば、全議員が辞職すると脅しをかけたことだ。もしそうなっていれば、韓国の政治危機は一気に深刻化していたはずだ。こうした野党の姿勢は、左派が憲法上の手続きに敬意を払っていないことを示唆している。まるで途上国のような政治感覚だ。
 だが、いいニュースもある。憲法のプロセスがきちんと機能していることだ。スキャンダルはあらゆる民主主義国家で起こり得る。大切なのは、それにどう対処するかだ。
 韓国の場合、大規模な街頭デモが平和的に行われたことは、高く評価していい。国会と大統領も、今のところ憲法の規定を守っている(ルール違反ぎりぎりの駆け引きはあったが)。朴は、もし憲法裁が弾劾を決定すれば受け入れると語った。
 ここ数カ月の韓国は大揺れだったが、多くの犠牲を払って手にした民主主義は、この国の政治家よりも健全で成熟していることを示そうとしている。
ロバート・E・ケリー(本誌コラムニスト)
ニューズウィーク日本版 [2016.12.20号掲載]
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/post-6548.php
 さて、ニュースウィークの記事では様々言っている。しかし、実際に今後どのようになるのかは全くあかれていない。それは、基本的に、海外のメディアが今回のデモの本質が全く分かっていないということに尽きるのではないかと思われる。
  さて、ズバリ、今回のデモの本質は「政治不信」であるという。政治不信というのは、単純に「抗日」も「親日」も何も関係なく、現在まで行ってきた「政治そのものに対して国民が反発している」という感じに見える。ある意味で「革命的」であるといえる。
  これは韓国特有というよりは、韓国の特徴でもある「ネット社会」によるものであり、そのネットの中において、「政治などはいらない」「既成概念をすべて排除する」ということがあげられる。政治そのものではなく、「財閥」なども今回はやり玉に挙げられているし、また、「崔ゲート」といわれる、意思疎通と意思決定のプロセスそのものもすべてやり玉にあがるという感じである。ある意味で、「既成概念で行っている政治と、それに基づく既得権全般が終わりに向かっている」という内容であり、野党が行っているのは、その矛先を何となくそらして「議会内の政局」としてとらえようとしているのに過ぎない。野党などは「朴槿恵批判」に終始しているが、国民のデモの中心は「政治不信」であり「野党」そのものにも批判が向けられているという状況である。調子に乗って朴槿恵を批判していても、実際はその批判の波は、その野党ごとの見込む勢いであるということが言えるのではないか。
  ある意味で、宮崎駿監督作品の「もののけ姫」のラストシーンのように、「たたら」という「権力の源」を巡って人間と森の物の怪たちが争っているところ、もっと大きな山の神の波がその両方を飲み込んでしまうというような感じである。まさに、その「山の神の波」が「国民のデモ」という気がしてならない。
  その「国民感情」が強いのか、あるいは「既得権益」が強いのかということが、最大の問題であり、そのせめぎあいがある。少なくとも、その「既得権益」側は、金と権力で押し切ることになる。東アジアの長い歴史では、ここに軍が動いてクーデターになるということがあげられるのであるが、実際にそのような動きは今のところはない。しかし、現在「最高指揮官」である「大統領」が不在であるということは、軍が勝手に暴走することも十分に考えられる。
  その「各勢力の動き」を読む機関が「弾劾裁判の判決までの時間」であり、その「時間」によって「政界再編」や「クーデターの準備」「国民運動の大きな流れ」が決まってくることになるのではないか。
  結論めいたことを言うつっもりはない。現段階でそのことは全く分かっていない。しかし、一つ言えるのあ「簡単な終結」ではありえないし、また、大統領選挙で決まったとしても、それが安定政権になるとは限らないという現実なのである。

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