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来年もかなり荒れることになると予想される駐トルコロシア大使銃殺事件の「裏側」のうわさ

来年もかなり荒れることになると予想される駐トルコロシア大使銃殺事件の「裏側」のうわさ
 明日からは、毎年恒例の「10大ニュース」をお届けすることになるので、通常のブログとしては今年の最後の記事がこれになる。実際に、このような悲惨な事件の記事を再gに書くというのはどうかと思うが、まあ、ブログであるから仕方がない。もう少し希望のある記事を書きたかったのであるが、しかし、今の時代を反映しているのではないかという気がしないでもない。
  さて、12月19日のよるトルコ駐在のロシア大使アンドレイ・カルロフ氏が、美術展で会見をしている最中にテレビカメラの前で、トルコのその日非番であった警察官であったメウリュト・メルト・アルトゥンタシュが、いきなり近づき、そのうえで、大使を射殺した。その時に「アレッポを忘れるな」といいながら銃を撃っている姿がテレビカメラに残されている。
  昨年11月24日に、トルコ航空機がロシアの戦闘機を撃墜して以来、しばらく険悪なムードが広がった。しかし昨年6月のトルコでの空港の爆破事件や、その後の7月のギュレン派によるクーデター未遂があり、そのために、対立を続けているわけにもいかず、エルドアンとプーチンが歩み寄る形で両国の関係が良化した。しかし、両国のトップが認め合ったからといって、両国の国民感情までがすべてよくなるはずはない。当然に両国の国民感情の中には、さまざまな複雑な「わだかまり」があるはずだ。
  特に、そのことが表面化するのは、「シリアのアサド政権のアレッポ占領」である。「アレッポ」とは、シリア国内の都市で、反政府軍、いわゆる「自由シリア軍」の拠点であった都市であるといえる。しかし、い昨年の9月のロシアのシリア参戦、そして、アサド政権支援表明によって自由シリア軍は徐々に、押される形になる。特にオバマ大統領の弱腰外交によって、基本的には陸上部隊を全く出さないアメリカに対して、ロシアははるかに戦略的に手を打っている。
  本来はスンニ派のトルコにとって、隣にシーア派のアサ政権が独裁を継続することはあまり良いことではない。しかし、トルコは、そのアサド政権に正面から対抗するということになれば、当然に、ロシアと対立することになる。それだけではなく、クルド人自治区やヌスラ戦線などの組織もあり、またISも存在する。宗教で二元論的に考えることができない、複雑な情勢の中においてロシアとの関係をどのように規定するのかということを考えなければならない状態になっているのである。
  このようなときに、最も良い解決方法は「両国以外の第三国にその罪を責任転嫁する方法」つまり「排外委主義外交」である。
ロシア大使射殺はCIAの仕業か?
<アンカラでのロシア大使暗殺は、アレッポの住民避難で手を組んだロシアとトルコの仲を裂くための欧米の陰謀だった?>
 CIAと「欧米同盟」の仕業だ――トルコの首都アンカラで19日夜、トルコ駐在のロシア大使アンドレイ・カルロフが射殺された事件で、トルコ政府寄りの新聞はこぞって欧米の陰謀説を主張し始めた。根拠は、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領がいずれも、事件直後の声明で「これは挑発だ」と宣言したこと。シリア和平、とりわけアレッポ市民の避難でロシアとトルコが手を組んだことに不満を持つ勢力の仕業だというのだ。「暗殺を命じた首謀者を突き止める必要がある」と、プーチンは声明で述べた。
   犯人の警官は「欧米の回し者」
 トルコ国民の間では、アレッポでの凄まじい人道危機を招いたプーチンに怒りが高まっている。先週にはイスタンブールのロシア領事館前で大規模な抗議デモがあったばかりだ。こうした中、トルコの有力紙は大使暗殺に飛びつくように、国民の怒りを欧米に向けて、ロシアに急接近するエルドアンに世論の支持をとりつけようとした。政府寄りのイェニ・シャファク紙とイェニ・ソズ紙は露骨にCIAを黒幕呼ばわりし、タクビム紙は大使を射殺した非番の警察官メウリュト・メルト・アルトゥンタシュを「欧米同盟」の「回し者」と呼んだ。イェニ・シャファク紙は、トルコ脱退が取り沙汰されているNATOの陰謀説を仄めかすため、ロシア上院・防衛安全保障委員会のフランツ・クリンツェビッチ副委員長のコメントを引用した。「NATOの諜報機関の工作員が事件の背後で糸を引いた疑いが濃厚だ。これはまさしく挑発であり、ロシアに対する挑戦だ」
 アメリカに逃れているイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレン師と暗殺事件を結び付ける報道も相次いでいる。ギュレン師はエルドアンの政敵で、今年7月にトルコで起きたクーデター未遂事件の首謀者とされ、トルコ政府がアメリカに身柄引き渡しを求めている。トルコ当局はクーデター未遂事件以前と以後に起きた多数の犯罪を「フェト」(「フェトフッラーのテロ組織」の略)の犯行と決めつけている。射殺犯のアルトゥンタシュの名はトルコの情報機関の「フェト」容疑者リストには入っていないが、サバー、アクサム、スターなどトルコ各紙はアルトゥンタシュがギュレン師の影響下にあったと報じている。
 一方、トルコのソーシャルメディアでは、暗殺事件についてさまざまな意見が飛び交っている。クーデター未遂後、エルドアンは人権弾圧を非難する欧米に背を向け、ロシアにすり寄ってきた。エルドアンの親ロシア路線に対し、国内世論の評価は真っ二つに割れている。エルドアンの支持者たちはツイッター上で「ロシアを愛するトルコ人」のハッシュタグ付きでロシア大使暗殺に怒りを表明。一方で宗教的なナショナリストはアルトゥンタシュを「殉教者」に祀り上げ、彼のために葬儀礼拝を行うよう呼び掛けた。
 大使暗殺でプーチンとエルドアンの関係は悪化するどころか、「欧米の挑発」に対して、今以上に結び付きを深めると、多くのアナリストが見ている。だがトルコ人の多数を占めるイスラム教スンニ派はアレッポの惨状を見て反プーチン感情を募らせており、エルドアンの親ロ路線は国内での世論離反のリスクをはらむ。
アレブ・スコット
ニューズウィーク日本版 20161223
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/cia-2.php
 トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領がいずれも、事件直後の声明で「これは挑発だ」と宣言したこと。シリア和平、とりわけアレッポ市民の避難でロシアとトルコが手を組んだことに不満を持つ勢力の仕業だというのだ。「暗殺を命じた首謀者を突き止める必要がある」と、プーチンは声明で述べた。<中略>ロシア上院・防衛安全保障委員会のフランツ・クリンツェビッチ副委員長のコメントを引用した。「NATOの諜報機関の工作員が事件の背後で糸を引いた疑いが濃厚だ。これはまさしく挑発であり、ロシアに対する挑戦だ」
 アメリカに逃れているイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレン師と暗殺事件を結び付ける報道も相次いでいる。
  <上記より抜粋>
  まさに、ここに書かれていることこそ「排外主義」の見本。基本的にエルドアン大統領は、「弱腰で外に出てこないアメリカのオバマ政権」とたもとを分かってロシアと組んで、アメリカを非難する立場になっている問う頃になるのだ。このことによって「ロシアの大使殺害によってトルコとロシアの関係が悪化する」のではなく、「陰謀説が出てくることによって、アメリカが割を食う」というような状況に追い込まれることになるのである。
  さて、来年はこれがどのようになるのであろうか。実際にロシアのプーチン大統領と仲が良いとされているトランプ次期大統領は、このような事態において「そもそもギュレンを保護しない」というような状態を推し進めることは間違いがない。要するに中東を中心した「ロシア・トルコ・アメリカ」の連合体ができるという状態になる。しかし、そのロシアが支援しているのがシーア派で、一方、トランプが敵対しているのもイランのシーア派ということになる。
  この状況からトランプは「中東情勢への不介入」や「ヨーロッパ情勢への不介入」ということを行うようになる。そのような状況の中において、いつまでその助教を続けることができるのか、ということが最大の問題になり、また再度介入するときになって、どのような状況が生まれてくるのであろうか、誰とトランプは組むのかということが最大のも問題になる。単純に言えば「シーア派と組むのかスンニ派と組むのか」ということが最も翁課題になるのであろう。
  その時までの、現在の「複雑な中東情勢」は変わらないということになる。来年、この内容において複雑な国際関係がくりっ広げられ、それは日本にも様々な影響を与えることになるのであろう。

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