年末恒例今年の10大ニュース2008
年末恒例今年の10大ニュース2008
平成20年、西暦2008年も残すところ後数日となった。大晦日と正月元旦となにが違うのか、と言われても、観念的な暦の違い以外特になにも変わらない。普通通りに陽は昇るし、風も吹く。古来、暦が変わるとは大変なことであった。太陽の神である天照大神命の子孫であり、収穫と暦を司る「現人神」である天皇陛下が、暦を変えることによって新たな収穫が始まるのである。日本は農業国家であり、その農業も基本は稲作である。その稲作は1年で種から収穫がありそこでリセットされて新たな種籾からの栽培がはじまることになっている。現代は、工場生産であり、365日いつでも何でもできるが、やはり農耕民族の性格と勤勉さが、特別な休暇と観念的な「ハレ」の日をほしがっているものである。
さて、そんな状況はともかく、今年もおわろうとしている。そこで、毎年恒例の10大ニュースを見てみたい。毎年であるが、著作権などに抵触する恐れもあるが、読売新聞社の10大ニュースをこのまま引用する。
1 中国製ギョーザで中毒、中国産食品のトラブル相次ぐ
2 福田首相が突然の退陣表明、後継は麻生首相
3 ノーベル物理学賞に南部、小林、益川氏、化学賞には下村氏
4 北京五輪で日本は「金」9個、競泳・北島選手ら連覇
5 東京・秋葉原で無差別7人殺害
6 後期高齢者医療制度スタート、保険料の年金天引きなどに批判
7 元厚生次官宅襲撃事件で3人死傷、出頭の無職男を逮捕
8 東京株、バブル後最安値を記録
9 岩手・宮城で震度6強、13人死亡
10 洞爺湖サミット、温室効果ガス排出量半減の長期目標
11 「事故米」の食用転売判明、太田農相ら引責辞任
12 房総沖でイージス艦と漁船衝突
13 ガソリン税暫定税率が失効、値下げ始まるも再可決で復活
14 大分県教委汚職で小学校長ら逮捕、県教委教育審議監も
15 大相撲の若ノ鵬を大麻所持で逮捕、吸引陽性のロシア人兄弟力士解雇、北の湖理事長引責辞任
16 「ロス疑惑」で三浦元社長逮捕、ロス市警拘置施設で自殺
17 「ゲリラ豪雨」の河川増水で小学生ら5人死亡、被害相次ぐ
18 中国産ウナギなどで産地偽装相次ぐ
19 大阪の個室ビデオ店で放火、16人死亡
20 緊急搬送の妊婦死亡、8病院受け入れ拒否
上記のうち、政治関連が5件なのに対して、事件事故が8件。ニュースというのは、もともと日常と異なるハプニングを伝えるものであり、その「ハプニング」とは、人生の中で悪い子との方が多い。そんなことをわかっているつもりでも、いざこのような形になってみてみると、年末に暗い話題が多いと感じてしまう。
事件事故の中でも、あまりよくわからないものが少なくない。秋葉原の無差別殺傷事件と、厚生労働省もと事務次官殺傷事件、個室ビデオ店放火事件などは、やはり、このように改めてみてみると、社会そのものが病んでいるようにしか見えない。また、その社会をただすべき、教育の現場で不正が行われ、結局誰のための教育かわからなくなってきてしまっている。この社会の荒みは、食の安全という生活の根本的な部分をも蝕むことになり、その責任を負って大臣が辞任するようになってきている。
このように見てみると、結局のところ、官僚も教育も、社会も食も、全てが不安になってしまい、政治不信や政府不信につながってしまっていることがわかる。政府がいくら良い政策を打ち出しても、結局のところ、それを実行する官僚・公務員と、それを受け入れる社会が荒廃していれば、実効性も・効果も少なくなってしまう。またその意味を分からせる教育ができていなければ、結局のところ、なに網膜は行かないということになってしまうのではないだろうか。
小泉改革以来、このように考える人は少なくなかった。国家公務員改革などを断行すべく、政府はその路線を進んできた。公務員制度と族議員の関係を壊し、道路公団や郵便局を民営化し、その株式の売却益と配当の収入を得ることがぇきるような仕組みは整えた。しかし、安倍内閣・福田内閣・そして麻生内閣において、やはり私が何度も言っているように、これらを壊し、改革を進めた後の日本の姿が示されていない。もちろん、野党各党は政局、と言うよりは政策をまとめる力がないので、政府を非難しているばかりで、何の解決にもならない。しっかりとした政策論の争いではなく、霞ヶ関が作った政策を、実行するか非難するかという違いで、政治不信が募っている。昨今のアンケートでは、自民の支持率急落であるが、民主の支持率があがっているわけではない。完全に政治不信が募っているだけであることがこれら数字に表れている。自民側は「重く受け止める」としているが、民主党側も、与党の支持率低下が民主党支持につながらないことについて、しっかりと受け止めるべきであろう。
さて、そのような政治不信は、経済成長にも影を落とす。ガソリン税の混乱もあった。ガソリンスタンド前の長蛇の列は記憶に新しいが、それがあっても、この年末にガソリンがリッターああ足り100円を割る店が急増している。政治不信は株価の急落も招く。株価などは、将来の安定成長に従った長期の安定投資がその基本になるのに対し、一部の投機的な投資家と、政治不信による将来の不透明が、結局株価最安値の更新という不祥事を起こしている。
こじつけかもしれないが、政治不信と戦後政治の問題点が多く明るみにでた一年といえる。多くのマスコミでは、これを「自民党政治の終焉」と言っているが、民主党の多くの幹部は基本的に元自民党のもっとも自民党らしさを持った人々であったことを忘れてはならない。
この戦後政治の「膿」を出したのは日本だけでない。アメリカも同じである。
1 米大統領選でオバマ氏勝利、米史上初の黒人大統領誕生へ
2 中国・四川大地震発生、被災者1000万人超の未曽有の大災害
3 米証券大手リーマンが破綻(はたん)、米国発の金融危機が世界に波及
4 北京で五輪開催
5 NY原油、最高値147.27ドルを記録
6 ミャンマーでサイクロン被害、死者・行方不明者13万人超す
7 インドの商都ムンバイで同時テロ、邦人1人含む163人死亡
8 チベットで大規模暴動
9 北京五輪の聖火リレー、世界各地で混乱
10 インドネシアで鳥インフルエンザの死者100人超す
これが、海外のニュースのベストテンである。項目だけで判断すれば別であるが、市場経済への疑問と、戦後のアメリカ中心の枠組みや中国の国内の矛盾が明るみにでた。その場に応じて、大統領選挙というイベントと北京五輪と言うイベントで乗り切ったものの、やはり経済危機はどこも変わらない。中国も五輪バブル崩壊があったし、アメリカに関しては言わなくても良いくらいである。
日本だけでなく、世界的な構造変化やバブル崩壊、政治不信というように、戦後の枠組みの構造疲労が出てきている。
アメリカ大統領選挙ですら、あまり明るい話題とは考えていない。今年は清水寺で発表される今年の一文字は「変」であるとされた。オバマ大統領候補の演説で使われた「change」が大きな理由かもしれないが、実際これは「変」ではなく「戻」という感じなのかもしれない。構造の変化の前に懐古主義があることがある。オバマ大統領候補は、そのことを敏感に感じ取り、リンカーンの使用した聖書で宣誓を行うなど、様々な演出を行っている。
中国もご他聞に漏れず、懐古主義的な政策が相次いでいる。北京オリンピック直前から民衆や少数民族への圧力を大きくしている。また台湾の新政権への連携の強化を図るがごとく行い、一つの中国という理念からチベットへの圧力も強化している。その情報統制は、まさに古い中国を思わせる。
さて、今年の1月最初の文書で、私は2008年は「変革という名の懐古」となると予測している。少し長くなるが、今年の1月の年初放談の最後の段落をそのまま記載してみよう。
<さて、駆け足で信長の改革から関ヶ原の合戦を見てきたが、これを今の世の中に合わせてみよう。
小泉純一郎内閣が「自民党をブッ壊す」として、様々な改革を行った。郵政民営化だけでなく、道路公団の民営化を行ったのも小泉内閣だ。省庁再編など、確かに信長的な改革を行った。しかし、この改革は痛みを伴った。山一証券にマイカル、三田工業など大手企業が次々と倒産し、それまでの企業形態が一変し、また雇用形態も変わってきたのである。しかし、この改革ではなく「痛み」に脚光が浴びてきた。旧勢力の巻き返しである。それが今であろう。だれが明智光秀で、誰が秀吉・家康であるかはわからないし、将来見返さなければ政界は得られないであろう。しかし、改革を進めすぎればゆり戻しが来る。いま自民党はその揺り戻しに必至に戦っている。
そこで、人物的な魅力で関ヶ原のような戦いをしたのが昨年の参議院選挙であろう。安倍と小沢の人物的な魅力で自民党は敗れた。
では、その民主党は、いまだにはっきりした政策を出していない。私は、その点に不満であるが、逆に家康的に政権をとってから固めてもいいのかもしれない。日本はそのような国民性を持っているといえる。もちろん、政治家である以上政策で戦ってもらいたいが、それを冷静に伝えられる人も少ない。
関ヶ原の合戦のように、一回の合戦ですべてが決着するのならよいが、残念ながら現在は命のやりとりでないので、そうはならない。
改革の反動が現在の反自民、民主支持の根底であろう。そうである以上、改革期にいわれる「変革」は更なる改革でなく、懐古主義的な妥協に陥ってしまう。
今年は、ちょうどその分け目の始まりの年に見える。洞爺湖サミットや北京オリンピックなど、大きなイベントがあり、華々しい内容がある一方、大きな世界的な懐古主義が芽生えつつあることに留意すべきではないだろうか。>
奇しくもこの予言が当たっている。少なくとも私はそのように考えている。その辺の占い師と違って、当たったことそのものを自慢するつもりはないが、何となくうれしいものである。2009年の年初放談も、当たり外れは不明であるが、一応やってみたいと思う。当たるかどうかはまったく分からないが。
最後になるが、明るい話題で今年を締めくくりたい。
ニュースの3位と4位に、ノーベル賞ラッシュと北京オリンピックでの金メダルラッシュが挙げられている。
このように明るいニュースがあげられるのは非常に大きなものである。「懐古」ではないが、やはり日本は技術の国なのか。ノーベル賞ではやはり科学系が4人も受賞している。なんとなく、世界的な金融市場に流されてしまっているが、やはり、日本人は毎日クラゲを追って技術や研究を極める、そのような勤勉な姿が似合うのではないだろうか。高度経済成長時代の「技術立国日本」を再度目指す必要があるのかもしれません。少しバブルの時に「財テク」という単語で踊らされて以来、日本は楽をして金を稼ぐのに慣れてしまったのではないだろうか。3位と4位は、くしくも、そのような「楽をして」というのは無縁な「苦しい下積みと、毎日の努力」が良い結果になる。そんなことを感じさせたのではないだろうか。このニュースが上位に来ることは、日本人の多くの人の心の中に、そのような毎日の努力を称賛する心が残っているという感じもあるのかもしれない。
いずれにせよ、2009年、平成21年もよろしくお願いいたします。
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